352日 三密をそろえた収録現場に行ってきた
今日は久々に自分の会社にがっかりしてしまいました。
こんな仕事を続けていていいの?と思うことがあったので書いておきます。
スタッフ、出演者(ひいてはこの人たちに関わる大勢の人)を軽んじているようにしか思えません。
今日の現場
今日、「人手が足りない」と言われ、手伝いのため
とある番組の収録現場に行ってきました。
結論から言うと、みごとに「三密」をそろえてました。
三密:「換気の悪い密閉空間」「多数が集まる密集場所」「間近で会話や発声をする密接場面」
収録環境は簡潔にまとめるとこんな感じです。
- 窓がなく換気がものすごく悪いスタジオ
- スタジオが入る店は休業中なので大っぴらにドアを開放することもできない
- スタジオにあるのはちっちゃい扇風機
- スタジオには出演者総勢19人が入れ替わり立ち代わり、同時には5人ほど
- 30人以上のスタッフもスタジオと裏側にスタンバイ(ワンフロア)
- 狭い副調の人口密度高し…
- 芸人は4畳、6畳ほどの部屋にそれぞれ5人、6人が入りネタ合わせ
- 収録中、出演者はマスクを外しけっこう近距離でよくしゃべる
- 歌もリハーサルから何度も歌っちゃう
- 芸人はもちろんマスクなしでネタ披露
スタジオ内のカメラに映る範囲には、出演者が、申し訳程度ではあるものの間隔を開けて座っています。
ですがカメラに映らない範囲には、AD、FD、カメラマン、音響照明といったスタッフがいつも通りに入っていて、カメラの画面を切り替えるスイッチャーや音楽を流すために動いているスタッフはスタジオよりずっと狭い部屋にひしめき合っていました。
若手の芸人たちは狭い部屋に待機させられ、マスクもつけずにネタ合わせを行います。
(視聴者からの抗議が出ないように見えている部分だけは体裁を整えています)
こんな光景が、東京都渋谷区で、今日も繰り広げられていました。
緊急事態宣言によって人が激減した通勤電車よりも確実に人口密度が高く、おまけにみんながひっきりなしにしゃべっている現場。
今の時期にこの中で仕事をするなんて、冗談抜きで自殺行為なんじゃないだろうかとも思いました。
なぜそんな仕事を続けちゃうのか
会社の中には私と同じように、「こんな収録を続けるなんてどうかしている」という意見を持つ人がけっこういます。
ではなぜこの収録が止まらないのかというと、理由は3つあると考えています。
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クライアントが大きいから、うちのような小さな会社が「収録を中止しましょう」とはなかなか言えない
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収録に毎週関わっているスタッフたちは、この状況に物申す余裕がない
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そもそもクライアントが正気じゃない
クライアントが大きいから、うちのような小さな会社が「収録を中止しましょう」とはなかなか言えない
まず1について。
この番組のクライアントは、誰もが一度は名前を聞いたことがある大きな会社です。お金があるので羽振りもいいらしい(定かではないですが…)し、レギュラーでもあるこの番組がなくなれば、大きな損失になることは理解できます。
収録に毎週関わっているスタッフたちは、この状況に物申す余裕がない
2についてですが、
そもそもこの番組はコロナが騒がれる前から制作現場が荒れていました。レギュラーメンバーは、徹夜を繰り返し、土日も当たり前に出社。収録できる状態を作るために必死なのです。
そんな状態で働いてきた人たちには、この状況に物申す余裕がないように見えました。
今日の収録後も、20人ほどが密集して次回の収録に向けた会議を行っていました。
そもそもクライアントが正気じゃない
3は、真理だと思っています。
クライアントが正気なら、間違いなくこの収録はストップしているはずです。
報道でもなければ大人気番組とはとても言えない、視聴者の少ない番組なのです。それを「ほかの収録が止まっている今こそチャンス」などと言って作り続けている。視聴者は増えていません。何を考えているのでしょうか…
こんな収録が毎日朝から夜まで行われていることが許されるなら、劇場、映画館、遊園地、居酒屋、、、などなどの、営業ができなくて苦しむたくさんの人たちはなぜ歯を食いしばって休業しているのか?
こそこそと体裁だけ繕わせ、スタッフ、出演者を積極的に危険にさらしているこのクライアントにものすごい不信感を抱いてしまいます。
ここでもしコロナの感染者が出たら、クライアントはどう言い逃れするつもりなんでしょう?クラスターが発生でもしたら、ものすごく叩かれるのは目に見えています。今後継続して番組を作るのはほぼ不可能になるはずです。
でもきっと事態が悪化したら「制作現場のことは知らない」「制作会社の責任だ」と言い逃れるのでしょう。
腹が立ちますが、確かにこの状況を作ることに加担していた協力会社にも落ち度は十分にあります。
できることをやります
私としては、ボイコットをしてでも、レギュラーの仕事がなくなったとしても、この仕事を降りるべきだと思っています。
仮にクライアントに収録中止を訴えてこの仕事を失ったとしても、下っ端の自分にはその損失を埋めるだけのはたらきができていません。そんな中発言するのは無責任なのかもしれませんが、どうしてもこのおかしな状況に黙っていることはできませんでした。
もしも自粛期間中このまま収録を続けるのだとしたら、せめて感染のリスクをできるだけ低くするよう徹底しないといけません。
今日、手伝いだったとはいえ、私がその役割を果たせなかったことを反省しています。
勢いに任せて書きなぐってしまいました…!
収録が中止にならない理由があるのは理解できるのですが、やはり続けるのはおかしいと思う。なので手始めに、自分の上司に物申してきます。